聖なる布2


午後3時頃から日没までの間に、
イエスの体を十分に洗い清め、埋葬することは不可能であったろう。
そもそも作業は、イエスを磔(はりつけ)にした釘を抜くというようなことから
始めなければならなかった。
(実はこの釘は、現在、ローマのある教会に保存されていて、
 4月の巡礼ツアーの際、拝礼させていただくことになっている)
丘の上に立っていた十字架を寝かせて、釘が抜かれ、
イエスの遺体はミケランジェロが想像したように、
おそらく聖母マリアの胸に抱かれたであろう。
聖母はしばし泣き続けたに違いない。その状態から、
すぐ迫っている日没までの間に遺体を十分に洗い清めるなどということはできず、
おそらくは血や汗のついたままの状態で没薬と沈香が塗られ、
布に包まれて埋葬された。
そうして、約36時間が経つ間に、それらの物質の間に絶妙の化学反応が起き、
イエスの姿はちょうどネガのようなかたちで布に写し出されたとされる。
人類が保存する最大の神秘の一つであるこの布は、なんと……


10年か20年に一度しか公開されない。
しかも約一カ月間という、短い期間である。
その間に、ミラノやトリノでは、
それとはまったく関係のない見本市なども開かれるので、
ホテルは満杯となり、価格が高騰する。
それらの期間を避けると、ちょうど一週間だけが残り、
それが今回の旅行期間となった。


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