聖なる布3


聖骸布拝礼に先立ち、われわれはまず、
レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』を見ることになる。
聖書によれば、ユダに裏切られて十字架につけられることを知っていたイエスは、
最後の晩餐の際、弟子たちに次のような言葉を語る。
                           
『まことにまことにわたしは言う。
 あなた方は泣き悲しみ、この世は喜ぶだろう。
 そうだ、あなた方は悲しむ。だが、その悲しみは喜びに変わる。
女は子を産むとき、苦しむ。その時が来たからである。
 だが、子を産んでからはもう、産みの苦しみを忘れる。
 この世に一つの生命が生まれ出たことを、喜ぶからである。
あなた方も今は悲しんでいるが、ふたたびわたしに会うときには喜び、
 その喜びが奪われることはない。
 ……わたしは言う。あなた方が父に求めることは何でも、
 わたしの名によって与えられる。
 今まであなた方は何一つわたしの名によって求めたことがないが、
 求めよ、そうすれば与えられる。そして、あなた方は喜びに満たされる。
 あなた方はこの世で苦しむだろう。だが、勇気を出せ。
 わたしは、この世に勝ったのだ……』(ヨハネ 第16章20〜33節)
聖書にはまた、こうも記されている。
『イエスはまた、こう話し、心中憂いながら言った。
「まことに、まことにわたしは言う。
 あなた方の一人が、わたしを裏切る……」』(同 13章21節)
このとき、弟子たちは、誰のことを言われているのか分からなかったので、
互いに顔を見合わせたとヨハネは書いているが、
まさにその瞬間の様子が描かれたダ・ヴィンチの作が、
『最後の晩餐』だ。
自分たちのうち、誰かが主を裏切ると知ったときの驚き、悲しみ、動揺……。
そして、手塩にかけて育て、愛してきた弟子に裏切られ、
十字架に上げられなければならない愛の人・イエスを、
天才による一世一代の仕事のなかに見てみたい。
同じ日の午後に行く北イタリアの聖地オローパを知っている人は……


日本人ならかなりの通だ。
しかし実は、この場所はイタリア、いやヨーロッパでも有数の聖母信仰の地で、
世界遺産にもなっている。
4世紀、聖エウゼビオがエルサレムから持ち帰った「黒いマリア」は、
福音史家・聖ルカによる製作。
山間(やまあい)にある美しい教会群で聖母を拝礼した後、
いよいよトリノに入る。


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