旅日記28


7月10日
マハーバリプラムの遺跡のなかでも最高の傑作は、
縦横それぞれ13メートル・29メートルの岩の壁面に描かれた大レリーフである。
そこに描かれているのは『アルジュナの苦行』。
『マハーバーラタ』の大戦争を前して、
兵力として圧倒的に劣勢な側のアルジュナは神々から武器を賜るため、
ヒマラヤに苦行に出る。
こうして得た神弓ガーンディーヴァは、
マントラによって射る弓であり、
同時に、尽きることのない箙(矢筒)も与えられる。
さらにアルジュナは、
自然界の火のエネルギーを集約して敵を一瞬にして殲滅するという、
最終兵器を得る。
これらの神器により、アルジュナは戦いに勝利することができたわけだが、
その国の伝統や古典に、特に若い人たちがほとんど関心を払わない現代、
インドもその例外ではなく、
ほとんどの人はここに来てもレリーフの意味をほとんど理解しないで帰るのだと、
ガイドは嘆いた。
毎月【バガヴァッド・ギーター】の解説を聞きに来ている皆さんからすると、
身近な登場人物らが並んでいるのだが……。
ちなみに……
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世界遺産・アルジュナの苦行
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両手をあげて片足立ちしているのがアルジュナ
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左・座っているのがドローナ先生
中央の窪み・ガンジス河と蛇神
右・アルジュナの真似をしている猫
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世界遺産・パンチャラタ
(巨大な一枚岩から削りだした5つの寺院)


来週23日の<木曜くらぶ>では、
佳境に入りつつある【バガヴァッド・ギーター】第二章の解説の前に、
クリシュナ神について解説します。
数奇な運命により、直系の嫡男でありながら、
インド帝王家の系図からはずれた一族に現れ出た、
神の化身の物語です。


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