癒し 11


1975年5月、シスター笹川のもとにたびたび現れていた天使は、彼女の耳が八月か十月に開け、治ることを告げた。
ただし、『主はいま少しの犠牲を求めておられる』ので、それがとりあえず一時的なものであると同時に語った。
続いて9月、天使は次のように告げた。
『御聖体のうちにまことにまします主の御前で、礼拝中のあなたの耳が開け、治るでしょう。そのとき聞こえてくるのは、あなたがいつも捧げているアヴェ・マリアの歌声です。その次に、主を礼拝する鈴の音が聞こえるでしょう……』
10月、聖体降福式の最中、笹川は突然畳にひれ伏し、嗚咽した。
何年かぶりの“音”を聞いたのである。このとき、彼女の耳に聞こえてきたのは、聖堂で歌われていたアヴェ・マリアであった。そうして、式の順番通り、聖体礼拝のための鈴が振り鳴らされた。


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