癒し 9


昨年、アッシジに巡礼した際、われわれは聖フランシスコのお召しになった僧衣をすぐ目の前に見ることができた。そこには、今でもはっきりと血痕をみることができる。
文献上、最初の聖痕者が、この聖フランシスコであるといわれる。世俗を捨て、清貧の徳に生きた聖者も、やはり天使を幻視し、続いて両手足の激痛に襲われた。そこには、ちょうど釘に貫かれたかのような傷が顕れていた。
傷は、掌においては内側から外側へ、足においては甲から足裏へ貫く形をしていた。さらに、脇腹にも槍で突かれたような傷が現れ、おびただしい出血があったので、聖者の衣服はしばしば血でぐっしょり濡れたと記録されている。
シスター笹川が手に受けた傷は、おそらくこの“聖痕”と呼ばれるものであろうが、「奇跡」や「聖人」と同様、「聖痕」もまた、教会が公式に認めるには厳しい調査を経る必要がある。
教会が奇跡と認める現象は、実際に起きている無数の奇跡のうちのごく一部でしかない。


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