宗研35


相浦先生からいただいた貴重なものは数多いが、
なかでも忘れられないのは『信心生活の入門』である。
本を読むのが極度に苦手な私は、
人さまからいただいた本も、多くは読むことができない。
まことに申し訳ない限りである。
しかしそんな私が、この『信心生活の入門』だけは読んだ。
赤線を引きながら、繰り返し、
血と、汗と、涙を流しながら読んだ。
著者は、聖フランシスコ・サレジオといって、
日本ではほとんど知られてない名だが、
サレジオ会という修道会は、日本で学校も経営している。
その聖人の名を冠する修道会が何百年も存続し、
極東の島国でこうして学校を立派に経営しているなどということは……


聖人がいかに有徳の方であったかを物語る。
が、そうした証左を待つことなく、
この聖人の非凡さは、『信心生活の入門』を読めば即座にわかる。
この本をくださった先生ご自身は、
これを私がこんなに繰り返し読むことになろうとは、
思いもよらなかったに違いないが、
『幼きイエスの聖テレジア自叙伝』とともに、
この本は高校時代の愛読書となった。
修学旅行の間中も手放さなかったので、
この本と一緒に写った集合写真がある。
ちなみに、東京に出てきてからもなお、その状態は続き、
『あるヨギの自叙伝』を読むようになってから時間的には減っていったが、
それでも私はこれを読み続けた。


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