第十三回 〜二千年の聖都への大巡礼 サンティアゴ・デ・コンポステーラ〜 七日目-3


ルチアが半世紀以上を過ごしたカルメル会の修道院には、特別な配慮で入れていただく。滞在可能時間は20分。
そこで、聖堂に入るやすぐに、私は皆さんと一緒にロザリオの祈りを唱えることにした。もちろん、皆さんは皆さんそれぞれの意向で祈っていただいたらよい。ただ、Qさんのことも一緒に祈ってほしいと、私は言った。
ロザリオ一連を終えたとき、まだ10分ほど時間があった。あとは自由に聖堂内でお過ごしください……と申し上げロザリオをやめると、シスターが私に何か言った。が、ポルトガル語なので意味が分からない。身振り手振りで何とかコミュニケーションをとった結果、シスターは「ロザリオを続けて」とおっしゃっていることが分かった。
もちろんシスターは、今、何が起きているのかを知らない。が、もっとロザリオを祈れと言っていた。結局、われわれはロザリオをまる一環唱え、祈りを終えた。
このシスター、実は3年前に訪ねたときも応対してくださったシスターだった。あのとき、ルチアへの手紙を必ず届けてくれると言ってくれた彼女だ(2004年8月3日のエッセーを参照)。後で奥の部屋でお礼を申し上げると、シスターは、人懐っこい笑みを浮かべてこう言った。
「ロザリオが好きですか? ロザリオをお持ちになりますか?」
聞けば、なんとルチアがご存命中に、手作りで作られたロザリオがあるという。
「どれくらいありますか?」
「多くはありません」
「……全部、売ってください」
今回ご参加の皆さん45名分があればいいと思って待っていると、別のシスターが数本のロザリオを持ってきた。
「もう少しありませんか?」
そう聞くと、シスターはまた奥の部屋に行って帰ってきた。そのようなことを何回か繰り返して、遂に人数分を超えるロザリオを譲っていただくことができた。
皆さんの待つバスに走って戻りながら、胸がときめいて仕方がなかった。
(クリックで画像拡大)
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カルメル会聖堂
(コインブラ)
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聖女が祈りを捧げた聖母
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ロザリオをつむぐルチア
(左端)


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