第十三回 〜二千年の聖都への大巡礼 サンティアゴ・デ・コンポステーラ〜 二日目


午前はプラド美術館を見学。保有絵画8000点超、絵画館としては世界一を誇るこの美術館は、ゆっくり見て回れば一日でも終わらない。
館内を歩きながら次々現れるのは、これまで画集や絵ハガキのなかでのみ見てきた名作の数々。ムリーリョ【無原罪の御宿り】、フラ・アンジェリコ【受胎告知】、ルーベンス【三美神】、ゴヤ【着衣のマヤ】と【裸のマヤ】……。巨匠たちの息づかいが伝わる名画が、今、実際に目の前にある。
その後、バスはエル・エスコリアルへ。イベリコ豚の骨付きステーキ、魚のムニエル等に舌鼓を打った後、壮大なエル・エスコリアル宮殿(兼修道院)に目を見張る。
だが、この日のメインは、やはり何といってもアヴィラだ。リジューの聖テレジア、マザー・テレサ等の名前のもととなった大聖テレジアを生んだ街である。
中世期、堕落していたカトリック教会において、修道院内部もまた同様であった。それに対し、本来あるべき規律を再興し、真にキリストに倣って生きようとした一人の女性がいた。彼女はそのために新たな修道院を建設したが、堕落した生活に慣れきった教会幹部らは、彼女をイジメることに没頭した。厳冬のこの地にあっても裸足で生活した彼女らは、後に裸足のカルメル会などと呼ばれるようになった。
記念館では聖女の遺骨をはじめ、彼女らがじかに履いたサンダルや、贖罪のため枕に使った木の棒、激しい苦行の結果、文字通り血の滲んだ衣類などの遺品を拝礼。祈りの最中、体が浮遊したり、また、ご出現になった幼いイエス様に会った、まさにその場所を目の当たりにする。
宿泊は、アヴィラの大カテドラルの前。中世のたたずまいを今も残す美しい城塞。途中、観光客に道を尋ね始めて分からなくなり、最後には「私は悪くない」と言い残して去っていった、どこまでも憎めないガイドのおばさん。神聖な遺品の数々と聖なる事跡の現場……。巡礼初日だというのに、もう目一杯だ。
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フラ・アンジェリコ【受胎告知】
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ムリーリョ【無原罪の御宿り】
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ムリーリョ
【善き牧者としての
幼児キリスト】
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マドリッドの子供たち
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壮麗なるエル・エスコリアル宮
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幼子イエスの出現を受ける
大聖テレジア
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苦業の衣
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聖テレジアの書いた手紙
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どうしよう・・・・
(道に迷ったガイドさんと)
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ライトアップされたアビラの城塞


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