勝負 4


と、そこでレフェリーは試合を中断した。どちらがダウンしたわけでもない。が、気がつけば大山君の眉間が切れ、鮮血がほとばしり出ている。
パンチというものは、正面からボカンともらったらアザはできるかもしれないが、顔が切れたりはしない。
紙一重でかわしながら、しかしぎりぎりでもらったパンチが薄い顔面の皮膚を切り裂く。1ミリ差でかわしたパンチは空を切るが、1ミリだけもらったパンチは皮膚を切り、多量の出血を招く。
弱い選手はボカンとパンチをもらって終わりだが、上手い選手ほど顔を切ることがある。そして、どんなに強い選手でも、出血には勝てない。ドクターストップがかかってしまうからだ。
コミッション・ドクターが大山君の眉間を診察し、タオルで血をぬぐう。体へのダメージはないので、試合再開。
しかし、勢いに乗るマヌーフはここぞとばかりに攻勢に出る。ふたたび、わずかに掠ったパンチで別の箇所が切れたが、それと引き換えに、大山はマヌーフをグラウンドに引き込んだ。
まさに肉を断って骨を切る、武士道魂。だが、そこにレフェリーが割って入り、試合を止めた。


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