岐路 2


日本の社会は、今、岐路に立たされている……と初めて聞いたのは、小学生の頃だったと思う。
それから今に至るまで、いつも、どんな状況でも、同じことが言われ続けてきた。ちょうど小学校のセンセイが、皆さんは今、人生の一番大事な時期なのよと一年生に言い、二年生にも三年生にも、四年生、五年生、六年生にも言い続けるのに似ている。当然、中学に入れば中学の先生が、高校に入れば高校の先生がまた、同じことを言う。
しかしだからといって、それらがまったくの嘘というわけではない。確かに、それぞれの時期が、それぞれに大事だ。同様に、今、日本の社会が岐路に立たされているというのも事実だ。
考えてみれば、私たちの人生も岐路だらけだ。そもそも、人がある両親の許に生まれてくるということからして、大きな岐路だった。ただ、彼はそのことを意識していない。意識していなければ岐路ではないかといえば、われわれは他にも、人生上の多くの岐路を意識しない。
状況に応じて、あるいはその場の気持ちや意志に従って、それぞれの岐路で選択をする。それによって、残りの人生は決定的に違ってくるのだが、選択するときには、事の重大性などほとんど理解してはいない。
後になって初めて、われわれはとんでもないことを選択してしまったことに気づくのだ。


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