山形への旅 5


 式の当日、東京は秋晴れだった。向こうは大雪? 信じられない……。
 ところが、福島を出て米沢の辺りにさしかかったとき、雪に覆われた山々の風景が飛び込んできた。今シーズン、初めて見る雪。思わず、降りしきる雪のなか、山形駅を降りていく自分の姿を想像して嬉しくなってしまった。東京に住むわれわれにとっては、やはり雪は嬉しいのだ。
 だがしかし、それなのに、実際に山形駅に降り立った僕を待っていたのは雪ではなく、雨だった。ちょっと、話が違わないか……。
 山形カトリック教会は、こじんまりとした日本的建築だった。ちょうど、新聖堂落成前の、秋田のマリア様の聖堂を思い出す。それでも、十字架と祭壇、隣のマリア像、聖堂周りの「十字架の道行」は、まぎれもないカトリック教会である。そこに、伝統的な和服姿の親族が集まって来、互いに挨拶を交わす。
(ああ、いい……)心の中で、そうつぶやいていた。
 その気持ちは、新婦入場でクライマックスに達した。
 真っ白なウェディングドレスに身を包んだ新婦が、父親に付き添われ、入場する。彼女とその家族の、これまでの人生が凝縮されたその短い時間に、思わず涙が出てしまう。何か、ずっと前から知っている人のような気がしてくる……


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