アダムの肋骨6


私には、もう一つの懸念があった。
今、救急隊員に何かを聞かれ、まともに答えれば、
私は救急車に搬入され、病院に行くことになるだろうと思われた。
見たところ、運転をしていた二人には、内心の傷はともかく、
目立った外傷はないようだった。
一方、私は胸の痛みがひどく、膝からも出血していた。
少なくとも胸のほうは……骨が折れているように思われた。
考えたくなかったが、自分だけに分かるその“感覚”は、
かなりの確度で正しいはずだった。
このまま救急隊がきたとき、すべて正直に答えれば、
おそらくは救急車に乗せられ、病院に行くことになる。
私がここにいても、何の役にも立たないばかりか、
伊勢にも行けないことになってしまう。
パリハーラムはこの日の指定で、しかも私がいなければ成立しない。
そのために、3人の会員の方が朝早くそれぞれの家を出て伊勢に向っているはずだった。
しかし、私だけがいつまでも現れない--。
そんな事態だけは避けなければならなかった。
「救急車を呼びましたよ」と通行人が言ってから……


すでにある程度の時間がたっていた。
救急車は、今にも到着するだろう。
そのとき、私の携帯が鳴った。
私が新幹線に乗っていないことに気づいた会員の方からだった。


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