カルパスワミ 1


インドで初めて「カルパスワミ」の名を聞いたとき、
私はてっきり、それは人間のスワミ、すなわち導師や聖者のことだと思っていた。
実際、カルパスワミと呼ばれる聖者は、私の目の前に現れた。
昨年の12月、私たち巡礼ツアーの一行が南インドで壮大なホーマを捧げ、
その後、インドを代表する高名なバジャン歌手ヴェーラマニ・ダサンが、
これを記念してバジャン(神の讃歌)を捧げてくれたときのことだ。
このとき現れた「カルパスワミ」は、自分の口にしたことが現実になるという、
きわめて稀な超常能力を持つ聖者だと紹介された。
「カルパスワミ」の臨席する会場で、
ヴェーラマニ・ダサンのバジャンを、われわれはすっかり堪能することになった。
それは想像を超えた迫力だった。
が、想像を超えることが、もう一つ起きようとしていた。
カルパスワミを讃える讃歌をダサンが歌い始めるや、
私のすぐ隣にいた聖者の身体が徐々に硬直していき、
法悦(トランス)状態に近づいてきたのである。
弟子の二人が素早く後ろにつき、万一、倒れ込んでも大丈夫なような態勢をとった。
身体の震えは大きくなっていき、
完全なトランス状態に移行するかと思われたそのとき……


頃合いを見計らっていたのか、ヴェーラマニ・ダサンはバジャンを止め、
すんでのところで神の降臨は見送りとなった。
このとき、降りようとしていた神こそが「カルパスワミ」であり、
これと一体となる聖者も、その名にちなんで「カルパスワミ」と呼ばれている。
ヴェーラマニ・ダサンとその弟子たち

ヴェーラマニ・ダサンとその弟子たち
アイヤッパ神の祭壇

アイヤッパ神の祭壇 


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