雷神1

読者の皆さんには意外に聞こえるかもしれないが、
子供の頃、「爆竹」に凝ったことがあった。
言うまでもなく、爆竹は、子供が扱うには危険な“遊び道具”だ。
しかし、たとえばこれをお芋に入れて空中高く放り投げ、爆発させると、
見事、音が何倍にも大きくなるのを発見するや、
私はその魅力にはまってしまったのであった。
そのうちに、爆竹を水中で爆発させる方法を自ら考案し、
これに成功したりもしたので、当時の悪友と連れ立ってよく遊んだ。
今日のようにパソコンやテレビがいくらでも娯楽を提供してくれる時代でも、
東京のように刺激に満ちみちた場所でもない、
田舎の田園風景でのことなので、皆さんにはご容赦いただきたい。

さて、6年生の夏休み、学校の砂場で爆竹を鳴らして遊んでいたら、
突然の雷雨に見舞われたことがあった。
帰ろうという悪友を制して、そのなかでなお、派手な爆音を轟かせていると、
ひっそりとして誰もいないと思っていた校舎のなかから、先生が一人出てきた。
私は当時、生徒会長を務めていたので、
よほど怒られるのかと思って身をかがめたら、
「青山君、面白いことしているねぇ」と言って、先生も一緒に遊び始めた。
校庭にあった大きなポプラ樹の木陰で雨をしのぎ、
得意になってさまざまな“技”を先生に披瀝しながら遊んでいたのだが、
雷雨はますます激しくなり、
木陰ではしのぎ切れなくなって帰路についた頃にはもう、ずぶ濡れであった。

自転車を飛ばして家に帰り着いたとき、濡れ鼠のようになった息子を見た母は……
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ハワイ王室霊廟・番外編

王室霊廟の敷地に入ると、そこに巨大なカマニの木がある。
どんな木も、花も、山も川もそうかもしれないが、
この木にも特別な精霊が宿るといわれ、いくつかの不思議な伝説がある。
曰く、この木の前に立っていたとき、
誰もいないのに背後からはっきりと名前を呼ばれた、
(だからこの木は、「Name calling tree:名前を呼ぶ木」と呼ばれる)
霊廟拡張工事の際、業者が切り倒そうしてもチェーン・ソーが動かず、
とうとう伐採を断念した、
写真を撮ろうとしてもシャッターがおりなかったが、
心のなかで許可を得るよう祈るとシャッターがおりた、
未来を暗示する不思議な夢を見た、等々である。
この木の周りでは写真に精霊が写ることがままあるともいわれる。

旅の参加者の皆さんは、霊的に繊細な感覚をお持ちの方が多いが、
ここを訪れた日の晩、一人の方が夢をご覧になった。それは……
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ハワイ王室霊廟6

「この祭壇の前で、しばらく瞑想させていただいてもよろしいでしょうか?」
そう聞くと、マイオホさんはいたく心動かされたご様子だった。
「皆さんのような気持ちをもった方たちがこうしてハワイを、
 そしてこの霊廟を参拝してくださったことに、心から感謝します」
そうして、このように言われた。
「日本とハワイは、同じ太平洋の島国で、
 今は国が違うとしても、同じ心を共有していると私は思っています。
 与え、受け入れるのが、ハワイの心です。
 今日の皆さんのご訪問のなかで、私はそのような心を感じ取り、
 心から嬉しく思っています」
私はこれから退席しますから……
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ハワイ王室霊廟5

王室霊廟には、もう一カ所、祭壇がある。
特別な礼拝や儀式が行なわれるときのみ開けられるという場所である。
私たちは、その場所にも入れていただけることになった。
中は、ハワイのコアの木で造られた礼拝椅子と机、
ハワイ風のステンドグラスと、王族が使用していたという鳥の羽根でできた飾り物等々、
いたるところからハワイの息吹が感じられる。

「この霊廟には、ハワイ王家の者のみが埋葬されますが、
 しかし、そのなかには何名かの外国人も含まれています」
ビル・マイオホさんがそう解説された。
すなわち、ハワイ王家には、その歴史のなかで、何人かの外国人が入ったのである。
なかでももっとも有名なのは、バーニス・パウアヒ王女と結婚したアメリカ人
チャールズ・リード・ビショップだ。

カメハメハ5世からの求婚を断り続けたバーニス王女は、
王家内における近親結婚を嫌い、一人のアメリカ人男性と結婚した。
その後、王家内における相続により、彼女はなんと、
ハワイ諸島全体の富の約1割を所有するほどになってしまう。
美しく、聡明な女性であった彼女はまた、
多くの人びとから女王の座に就くことを切望されたが、
それも固辞し続けた。
王女の死後……
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ハワイ王室霊廟4

「ハワイの祝詞(のりと)を吟唱してよろしいですか?」
そう言うと、ビル・マイオホさんは一瞬、怪訝そうな顔をされたが、
「エー・ホ・マイ(英知の祈り)です」
と言うと、ああ、そうかそうかと、安心したような顔をされた。

『E ho mai
 ka‘ike mai luna mai e 
 I na mea huna no’eau
 O na mele e
 E ho mai, E ho mai, E ho mai, e…

 すべての知恵よ
 自由に来たれ、天から受け取るものよ
 すべての隠された知恵が
 この祈りの中にある
 与えたまえ、分かちあいたまえ……』

伝統的なハワイアンの祝詞に続き、ガヤートリーと、サイ・ガヤートリーを唱え、
祈りを捧げると、ビル・マイオホさんの表情はいくぶん、和らいだように見えた。
そうして、自ら、
「地下祭壇(納骨堂)にもお参りされますか?」と聞いてくれた。
「是非、そうさせてください」と応えると、
地下墓所の鍵を開け、私たち全員がそのなかで祈ることを許可してくださった。
Eさんに用意していただいた供物をここに供え、
全員が祈りを捧げる。
この中は本来撮影が禁止されているはずであるが……
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ハワイ王室霊廟3

当日は、ハワイ在住の<プレマ倶楽部>会員Eさんに、
王室霊廟へのお捧げものを準備していただき、
現地で待ち合わせた。
バスが霊廟に到着すると、Eさんの姿をすぐに確認することができ、ほっとした。
が、ビル・マイオホ氏にはお目にかかってないという。
館長館と思われる場所に行き、呼び鈴を鳴らす。
……が、返答がない。
もう一つ、別の館に行って、そこにいた管理人とおぼしき方に声をかけてみた。
裸足で、作業着のような普通のTシャツに半ズボンをはいておられる。
「ビル・マイオホさんにお目にかかりたいのですが……」
そう言うと、
「私がそうです」
と彼は言った。

見れば、たしかに写真でみたビル・マイオホさんにそっくりだ。
本人だというのだから、当然だろう。
それにしても、随分と気さくな格好でお目にかかったものである。
しかし、それは逆に、私にとって都合がよかった。
いつも、誰とでも、普段着で、普段どおりにお目にかかれるのが一番なのだ。
「そこにあるのが、歴代王家の墓です。
 どうぞ、参拝してください」
そう言われて、第2代〜5代までの王が眠る墓所に案内された。
ちなみに、初代王カメハメハは、その遺骸が敵の手に渡る可能性を憂え……
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ハワイ王室霊廟2

ビル・マイオホ氏。
この数十年、王室霊廟館長として、この聖地を守ってきた。
実は彼自身、ハワイ王族の出であり、その霊統を継ぐ者でもある。
6月のハワイ巡礼のため、私はビル・マイオホさんに手紙を書いた。

『今年の6月20日、日本から約40名の巡礼団がハワイに向います。
 貴島の聖地を巡り、神々を礼拝し、祈りを捧げるためですが、
 その前に是非、王室霊廟を参拝させていただきたいと願っています。
 王家の眠る地で、この島を巡礼する許しを得、
 祝福をいただくためです。
 もし可能ならば、館長様にもお目にかかり、
 この島の神聖さやマナ、王家のこと、神々とのつながりについて、
 短いお話をいただければ大変幸いです。
 お目にかかれる日を楽しみにしています』--

この手紙に、返事はなかった。
もしや、巡礼と称するだけでは、王室霊廟には入れていただけないのか……。
地元の旅行代理店を通じて、
手紙が届いているのかどうかの確認をとってもらったところ……
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ハワイ王室霊廟1

人類の歴史上、世界中のほとんどの民族に王家が起こり、
王たちが民を統治してきた。
もともと人間は平等なはずであるが、しかしこの事実をみるに、
やはり同じ時代、同じ地域に生まれ合わせても、指導的立場に立つ人と、
彼らによる統治や指導のもと、その恩恵を享受する人の両方がいるらしい。
どちらがよいとか、尊いとかいうわけではない。
会社に社長がいて、専務や常務、部長や課長がいるように、
人にはそれぞれの役割があるということだ。

ハワイにおいて、カメハメハ一世がこれを統一したのは1810年、
比較的近代のことである。
以来、この島々はカメハメハ王朝により統治され、
神々への礼拝が執り行なわれてきた。
そして、歴代の王たちのほとんどが、
ここMauna ‘Ala(Royal Mausoleum:王室霊廟)に眠っている。
アメリカ合衆国の一つの州となった今も……
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non-Vegi

突然ですが、ご報告です。
4日のプージャの際に神々にお捧げするお食事は、
聖者の指示と関係者のご協力により、
Vegi とnon-Vegiの両方になりました。
ここで、Vegiは菜食のことで、
non-Vegiというのは肉や魚、卵などが入っている料理のことです。
このプージャで捧げるnon-Vegiが大変美味しいというご意見が多々あり、
次回を楽しみにしていますというお言葉も過去、何度もいただきました。
実は私自身も、それに賛成せざるを得ません。

お食事は充分な数が捧げられますので、
プージャに参加していただいた皆さんは……
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正統について 4

『盛者必衰の理』
われわれの宇宙を支配するこの普遍法則は、
地上最大の権力であったローマ・カトリック教会をも例外とはしなかった。
教会は、徐々にその権威も権力も失っていき、
現在のフランシスコ一世の時代は、
ローマ法王の権威を認めるというキリスト者が世界中に何億人かはいる一方で、
それを認めないという人びともまた、
何億人か存在する。

この問題を考えるのに焦点となるのは、主に以下のような点だ。
1)まず、イエスは本当にこのとおりのことを言ったのか。
  (その事実はどのようにして保証されるのか)
2)この言葉に関するローマ・カトリックの解釈が唯一正しいのか、そうではないのか。
3)仮にペトロが首位権を得たとしても、
  その後継者たちはこれを“正統に”継承してきたのか。
これらすべての論点が、それぞれにキリスト教世界を二分する大問題であり、
各々の教会がそれぞれの立場を主張する他ない状態となっている。
すなわち、決着は、キリスト教の中ではつかない。

聖書と、キリスト教を解説する以上、
これらの点にまったく触れないということはできず、
これまで何度となく、この問題を解説してきた。
が、とうとう今週、まさに問題のその箇所(マタイ第16章)に突入する。
他の3福音書にはない、マタイだけにあるこの記述は……
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