第六回 〜ルルド・ファティマ・リスボン〜 三日目


 この日の朝、早朝ミサにSさんをお連れする。彼女は、幼児洗礼を受けながら、さまざまな事情でこれまで教会に行くことができなかった。三十数年後のミサ、そして初聖体(聖変化されたパン=キリストの体を、初めていただくこと。『最後の奇跡』88頁を参照してください)。そのとき、本人は聖母像の左横から射した強い光に圧倒され、心臓が激しく高鳴ったという。
 午後、皆さんをルルドの城砦にお連れするまでは喉を温存しなければならない。が、知った顔に会うと、つい和んでいろんな話をしてしまう。皆さんはもう水浴も済ませ、晴々とした顔をしておられる。
 午前と午後、うまい具合に水浴をすることができた。ルルドの水も、“がぶ飲み”できるのはここでの贅沢だ。そして夕方、皆さんを城砦にお連れした。
 ここは八世紀に、キリスト教徒のカール大帝とイスラム軍との間で激しい戦いがあった場所だ。大帝の腹心であったピュイの大司教は、窮地に立ったイスラムの王に対し、一つの提案をする。それは、カール大帝に降伏する代りに、聖母マリアに城を明け渡すというものだった。王はこれを呑み、以来、このルルドの地は聖母に捧げられた。そうして人びとの敬虔な祈りが捧げられること千年、この地にマリアが出現することとなる。
 ここまで一気に説明をして気がついた。声が出ている。いったいどうしたことなのか……。
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