第六回 〜ルルド・ファティマ・リスボン〜 一日目


ルルドの旅は、毎年本当に待ち遠しい。が、今回は困ったことが起きた。直前になって、声が出なくなってしまったのだ(エッセー欄6月27日)。無理に話そうとすると、激しく咳き込む。この日が待ち遠しかった……が、まだ来てほしくはなかった。旅行の前にこれほど複雑な気持ちになったことはない。
考えられることは、すべて試した。抗生物質、消炎剤、漢方薬、その他、消炎作用があるといわれる生薬、気功、星状神経節ブロック(喉に注射を打つ)……。でも駄目だった。仕方がない。一年か二年に一度、こうして咳が出るようになったら、一カ月は何をしても無理なのだから。
空港で、馴染みの顔、顔に出会う。そのご家族の皆さんや、過去に参加なさって今回は見送りに来てくれた方もいる。つい話をしてしまうが、少しでも喉を温存しなければならないのがもどかしい。
旅行会社には、事情を説明して小型マイクを用意してもらった。空港の待合室で、まるで運動会みたいだ。だが、いざ挨拶に立つと、やはり駄目だった。咳が突き上げてきて、わずかな話ができない。「ルルドに着いたら……治りますから……、心配……なさらないでください……」唸るようにしてこう言ったものの、それは奇跡を願うに等しいことだった。
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