秋田の聖母マリア


 久々に秋田に行った。涙を流した聖母像のある聖体奉仕会に、新聖堂が完成したのである。
 会場には、何台もの大型バスを含むたくさんの車と人。日本中から、500〜600人の信徒が集まったという。記念ミサは、15名の司祭と新潟教区の司教(司祭の上位に位置する聖職者)とによる共同司式であった。
 ミサのなかで、佐藤司教は次のように語った。
「私はこれまで、秋田の聖母出現について、公式には何も触れてきませんでした。本日、この機会に申し上げます。ご出現を公認された前任者の決定を、私はいささかも変更するものではありません」
 1975年から81年にかけて、この場所にある聖母像が涙を流し、一人のシスターにメッセージを与えた(詳しくは、『最後の奇跡』169ページ以降を参照してください)。この、いわゆる秋田の聖母出現について、その後激しい議論がわき起こり、多くの人びとが傷ついたのだった。
 関係者の証言や資料を総合すると、当時の主任司祭はかなり激しい性格の方であったように見える。論争や戦いは、あるいは、ユダヤ・キリスト教の伝統が反映されたものでもあるのだろうか。しかしそのことにより、聖母のメッセージを直接聞いた当のシスターや周辺のシスター方の苦しみは幾千倍にも増幅され、それはいまだに続いている。
 だが、すべては摂理のうちなのかもしれない。今、多くの人びとの望みがかなって、秋田の聖母巡礼地に相応しい、純和風の聖堂が完成した。そこには、日本の仏師の手による木彫りの聖母像が、ただ静かにたたずんでおられる。
020513-1

涙を流される聖母像
1979.7.28撮影
020513-2

新聖堂正面
(秋田市添川湯沢台一 聖体奉仕会)


カテゴリー: キリスト教 パーマリンク

コメントを残す