ラクシュミ 3


 日本に帰ってラクシュミ女神像の封を解くのは、心ときめく作業だった。見るからに美しい。彫りも完璧。自宅に置くにはもったいない。そこで、富の女神ということもあり、事務所に置いてもらうことにした。
 ライトフィールドに置いて二週間が過ぎた頃、ラクシュミはどうしているかと思って見に行ったところ、仰天した。なんと、右のまぶたがスッパリ切れているではないか。いったいどうしたというのか……。
 事務所中がちょっとした騒ぎとなった。皆、自分の責任ではないことを、それとなく主張する。とにかく、落ちたまぶたの破片を求めて部屋中を探すことになったが、見つからない。掃除機のゴミ袋を見てみようと言いだす律儀な女子事務員がいて、それを開け、数人でゴミをより分けたが、やはりみつからなかった。
 その代り、ゴミのなかから真珠(イミテーション?)をより分けた者がいたのには驚いた。富の女神が、皆の真心に感じて出してくれたのか……。


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