宗研28


修道士や修道女は私有財産を持たないとはいえ、
彼らは体に合った服も着ればメガネもかけ、本やノート、
ペンやパソコンも持っているではないかと思う人もいるだろう。
彼らはたしかにそれを“持っている”。
が、所有していないのである。
誰が所有しているかというと、それは修道会が所有している。
彼らは、修道会から、それを専用に貸与されているという形になる。
では、かように私有財産を持たない修道士が、なぜ確定申告をするのか。
今、イエズス会のA神父が広島学院で働き、
通常であれば、年収700万円程度に相当する仕事をしたとする。
彼らは財産を得ることも持つこともないので、
本来は確定申告をする必要も、税金を払う必要もないはずだ。
しかしそれでは、国は、本当なら年収700万に課税できるはずなのに、
できないということになる。
それをもって、イエズス会やイエズス会士が、
修道という名のもとに脱税をしていると万が一にも受け取られてはいけないので……


とりあえず形式上、A神父は広島学院から給料をもらう。
想像でしかないが、それはおそらく、通常の給料より高くはなく、
しかし常識外に安くもない、そんな額ではなかろうか。
この場合であれば、年俸700万円や800万円ではないだろうが、
100万円とか200万円といった、非常識な額でもないであろう。
これに、国と地方自治体は課税する。
残ったお金は、法的にはA神父のもののはずだが、
彼はこれをイエズス会に寄付、または返還する。


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