因果12


その昔、プロ野球会の大スターといえば王・長嶋であった。
その二人の年俸が、併せてなんと1億円になった! という“大ニュース”を、
小学生の頃、耳にした覚えがある。
王と長嶋の年俸を比較したとき、
成績の上でどんなに王のほうが優れていても、
王の年俸を長嶋のそれよりも上にすることを、
読売巨人軍は決してしなかったという。
きわめて日本的な、古い価値判断基準であり、
ある意味、差別のようにすら感じられるが、
かつてはそんなことが実際にあった。
王はそれでも、毎年、球団の提示額そのままで判子を押したが、
そのこともまた、今のご時世では考えられない。
その後、数年して長嶋は引退、
王の年俸が6000万円に乗ったとき……


「20万ドルプレーヤーということです」
と、王自身が言ったのを思い出す。
当時は、超一流選手について、そういう言葉があったのだ。
それが今は、クレメンスが2800万ドル、ロドリゲスが2520万ドル、
ラミレスが2000万ドル、ジーターが1890万ドル、
そしてイチローが1800万ドルなので、
彼らの年俸は当時の王の100倍ということになる。
ホームランの世界記録を更新し、国民的ヒーローとなった王の年俸は、
その後いつしか、前年までに打った通算ホームランの数に比例するようになったので、
最後は8千数百万円だったはずである。
あの王にして、年俸一億円には到達しなかったのだが、
その後のプロ野球選手の年俸の高騰ぶりには凄まじいものがあった。


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