結婚式 3 


Yさんと出合ったのは、『理性のゆらぎ』を書く前、
1990年頃だから、お嬢さんが生まれて間もない頃のはずだ。
Yさんのご家族と、ぼくと、友人で一緒に食事をしに行くとき、
前の車の後部座席からこちらをうかがい、笑顔を絶やさないその子をみて、
友人は「可愛い、可愛い」と言い続けた。
その友人もつい先頃、結婚し、
こうして同じ年にえりかちゃんも結婚することになった。
まだ24歳。本当に驚いた。

遠い将来、この子が嫁いでいく日を、
父親であるYさんはどんな思いで迎えるのだろう……。
そう思い、そのときはどんな言葉をかけたらよいだろうかと考えたこともあった。
かつては、「君が大きくなるまで、先生、ずっと待ってようかな」と冗談を言い、
「そのときはなんと、Yさんがぼくのお義父さんだ!」
などと言っては顰蹙を買っていたのに、
その彼女が結婚する。
それにしても、その日がこんなに早く来るとは思いもよらなかった。

しかし当日の午前、私は京都にいなければならない。
必然的に、その日の正午に予定されている結婚式には間に合わない。
残念だが仕方がない。
それにしても、残念だ……。
何度もそう思い、諦めた……はずだった。

ところが7日になって、しかも新幹線に乗ってから、
私は、どうにも諦めきれない気持ちになってきていた。
彼女の成長期、私もYさんも忙しく……

私がアメリカに住んでいた時期もあり、
家族ぐるみで時間を共有することがあまりできなかった。
その間に彼女は、中学、高校を出て音楽大学に入り、大学院にまで行った。
専攻は日本の古楽で、“琵琶”が専門とされた。
Yさんのお嬢さんらしく、やはり伝統的なものに対する理解が深く、
宗教的でもあるのだ。
そういえば、次女の方は、上智大学の神学部に進まれた。


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結婚式 3  への1件のフィードバック

  1. イスカーナヤマト のコメント:

    やはり、子供は親の影響を受けるような気がします。我が長男も次男も、一言も進めたわけでもないのに、今では、二人とも、喜々として「合気道」をしています。どうなりますことやら。・・・・・クサンチッペが、合気道をやってくれればいいのに。

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