改革 1


 権力者というものは、私利私欲に走る。それはわれわれ庶民が、それぞれに可能な範囲でそうするのと同じであるが、しかし彼らにおいては、その影響の大きさから、より大きな責任を伴うのは言うまでもない。
 権力者がマスコミから称賛されることはほとんどない。しかし、この国の権力者たちが多くの過ちを犯しながらも、血を流しながら適切な政策を実現してきたこともまた、事実である。
 吉田茂は、マスコミ受けする政治家ではなかったが、戦後の焦土から日本を国際社会にふたたび送り出すことに成功した。
 岸信介は、戦犯として一度は公職追放の身になりながら、日米安保改定を行ない、日本の高度成長の礎を築いた。
 中曽根康弘は困難を極めた国鉄民営化をなし遂げ、竹下登はあれほどマスコミに叩かれながら、大平正芳も中曽根康弘もできなかった消費税導入を行なった。
 いずれも、その時代時代で、これに反対するほうが格好がよかった案件ばかりである。そのほうが、マスコミの表に立って、正義の味方面できたのである。われわれ自身がそうであるように、同様に無責任で、目先の利益に汲々とする政治家の多くは、内心でこれらがどうしても必要なことなど承知しながら、反対してきた。
 もしその風潮に流されてこれらがなし遂げられていなかったなら、今の日本の安寧や繁栄はなかったであろう。
 私は、吉田茂や中曽根康弘、竹下登の人格について言っているのではない。彼らによる、そうした政策について語っている。


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