巡礼 2


『聖母マリアの出現』(天使館)という本には、特別な聖女ではなく、一般人が体験した聖母出現が数多く載せられている。
その多くはメジュゴリエにまつわるものなので、一部を、解説を加えながら引用してみる。(『』内が引用です。文章は読みやすくするため、多少改変しています)
『──私は14年間、麻薬中毒に陥り、生きる意味も失っていました。十代で試しにやり始めてから、26のときには一日500ドルものコカインを常用し、栄養不良、歯はボロボロ、髪もすっかり抜け落ちていました。
そしてついに、コカインを吸うこともできなくなりました。吸いすぎで、鼻の脇に穴が開いたのでした。
それでも尚、蒸気を吸う方式でコカインを続けた私は、幻覚を見始めました。昆虫に体中が覆われ、肌の上を動き回るというふうな。あまりの気持ち悪さに、自分の肌を掻きむしり、髪をひっぱり、カミソリで自分を切りつけたりもしました。
さまざまな治療センターに通いましたが、私をこの地獄から救ってくれるところはありませんでした。
その頃、伯母は私を見て、これではもう死も間近だと確信したそうです。母も、私自身も、自分を見限っていました。クスリをやめる気もなかったし、たとえその気があっても、どうしていいのか分からなかったのです。
伯母は、私は聖母マリアに会わせるしか救う手だてはないと感じました。彼女は、1988年にメジュゴリエというところに行っていたのです。
今振り返ってみれば、私の意志とは関係なく、そのときすでに何かが起き始めていたのです』


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