沖縄


 取材で沖縄に行った。二日間……の予定だったのに、思わぬ偶然が重なって一週間近い滞在となった。
 二日目の朝、飛行機の便を検討していたとき、携帯が鳴った。沖縄に住む、知人の方からだった。だがこの人とは、二年に一度くらいしか話をしない。この前お会いしたのは四、五年も前で、最初、何故私が沖縄にいることを知っているのかが理解できなかった。実際、彼は、私が東京にいると思っていたのだ。
 この人は最近沖縄に移住し、ある会社の副社長に就任したという。ところが、その会社の社長も、私の存じあげている方だった。まったくの偶然だった。
 彼らに連れられ、この晩、私は琉球舞踊を見ることになった。それは、これまでに見たどんな踊りとも違って妖艶なものだった。
 「明日は首里城に行きましょう。滞在は是非、もう一日だけ延ばしてくださいね」
 琉球王家の末裔である社長さんにとって、首里城は“実家”のようなものらしい。こうして取材は、思わぬ方向へ展開することとなった。


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