サムライ 3


 立ち見でいいから入れないのかと言っても、だめだった。仕方なく運転手を探す。が、これがまた見つからない。運転手は、夕食に出てしまったのだ。そうして待つこと1時間、運転手が帰ってきたとき、彼はさらに恐ろしいことを言った。
「ダンナ、車は出ませんぜ」
 見れば、駐車場がいっぱいだ。日本やアメリカなら、駐車場がいっぱいでも車は出ることができる。が、この国では、中に入ってしまった車は外に出られないようにぎっしり停めてある。こうして今も、忘れたようなときに、ぼくはインドという国の底知れぬ恐ろしさを思い知らされることになるのだ。
 困り果てた運転手は、結局、何人かの仲間をかき集めてきた。そうして彼らが始めたことは、われわれの車が出るのを阻んでいる何台かを人力で引きずり出すという作業だった。この試みが成功したのは、まさに不幸中の幸いと言えよう。
 サイババの奇跡は信じられても、こんな話は信じられないという人もいるだろうから、ここに証拠の写真を提出する。
040324


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