妃殿下 2


 会場は、高松空港から車で5分のところにあった。控室に通されると、そこで一人のカンボジア人女性が弁当を食べていた。傍らには二人の女の子がいて、すでに食事を終えている。セーターにジーンズといった気さくな姿のこの人たちに、ぼくも普通に挨拶をした。貧困に喘ぐカンボジアの方にしては妙に気品があると思ったが、実はこの方が、カンボジア王子の妃なのであった。
「妃殿下は、ヨーガや瞑想も実践されています」
 お付きの方にそう紹介され、自然と会話が始まった。
「実は私も、ヨーガや瞑想に大変関心を持っています。われわれアジアの文化は、違っているように見えて、実は一つの共通の基盤をもっていると思います」
 そんなことを言うと、妃殿下は、まるで我が意を得たりといった感じで微笑まれた。


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