ヒンドゥの巨人 4


 ……という訳で、急にインドに行くことになってしまった。
 こういうものはすべて、出会い頭のタイミングだ。すでに一年近くインドに行っていないので、ちょっとしたきっかけで行きたくなったときが行くときなのだ……と自分に言い聞かせようとするが、日本の仕事をうっちゃって行くにはある程度、周りに迷惑がかかる。その後ろめたさを払拭できないのは、インド人と日本人の国民性の違いかもしれない。だが、いつ行くとしても、大なり小なりの踏ん切りは必要なのだ。
 インド国内を移動中のアショク・シンガルは、日本での彼とは違った側面を持つ。インドにもイスラム過激派がおり、彼らがヒンドゥ教のシンボルとして第一の標的としているのがほかならぬアショク・シンガルなのだ。
 したがって、国内を移動する彼には、常に十数名の護衛がつく。インド国防軍の兵士と、地元の警察。州をまたいで移動するときには、州境で護衛の警官が交代する。


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