ヒンドゥの巨人 2


 ホテルのロビーで待っていると、彼はいつものような飾らない、質素な服装で現われた。その満面の笑顔を見ると、思わず胸の前で両手が合わさるが、彼はそれを自分の両掌で包み込むようにして祝福した。
 VHP総裁アショク・シンガル師とお食事を、ということで、何人かの人が集まった。特別に注文した中華の菜食はまずまずだったので、一同、丸テーブルを囲んで舌鼓を打つ。
 僕の右隣にいたアメリカVHP代表・ガンジー師は、宇宙物理学者だという。彼はその職を全うしたあと、なんと夢に現われたサイババの指示に従い、現在はアショク・シンガル師の許で働いていると言った。
 左隣は在日インド大使館のお役人。急病で来られなかった総領事の代理で来たというこの人は、無口らしく、ただ黙々と料理を口に運ぶ。話してみると、12月に赴任したばかりで、まだ日本語も何も分からないという。中華の豆腐料理を見て怪訝そうな顔をされたので、これをお取りして説明すると、彼は初めて笑顔を見せた。


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