黄金週間の女


聖者による指示で、突然鎌倉に行くことになった。
私の知るかぎりの鎌倉では、空前の人出……。
まず、駐車場という駐車場で「満」の字が灯っている。
どのお寺に行っても、人、人、人……。
敬虔な気持ちをお持ちなのだろう、
多くが女子のように見うけられる。
レストランというレストランでも、人がずーーっと並んでいる。
「どれくらい待つようですか?」
「そぉ〜〜ですねぇ。1時間から2時間でしょうか」
それならということで、コンビニでお弁当を買って温めて食べたが、
それでも、鎌倉のこれを食べたい! というものが決まっているのだろうか、
人びとは行列をつくってただただ待っている。

この人びとは、おそらくはこうなると知りながら、
どうしてこんなときに鎌倉に来るのだろう。
単純にそう思ってしまうが、
よく考えてみれば、私もこうして鎌倉に来ているのである。

その昔、インドで、翌日お寺に行こうというような話になったとき……

友人は気楽そうに、「じゃあ、明日は会社を休もう」と言って私を驚かせた。
もちろん有り難い好意からなのだが、
日本なら、たとえ好意があっても、そんなことは普通できない。
こうなると分かっていても、人でごった返す行楽地に、
連休の間に出かけていく。
そうして多くの人は休み明け、疲れ切った体で仕事に戻る。

(神々よ、そんな愛すべき民族に、どうか恩寵を……)と
祈らないではいられない。


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