大晦日

 ときの流れの速さには、唖然とするばかりである。
 こうして今年も終わり、新しい年が明ける。その年もまた、速やかに暮れるに違いない。そうやって一つずつ年を重ねて、われわれの人生もいずれ終わるに違いない。
 そのときになって、ドラマの主人公よろしく「悔いのない人生だった」などとは、たぶん言えないだろう。そうなんだけれども、それでもこれでよかった……程度のことは、そのとき感じられるのだろうか。
 いずれにしても今日、今年が終わり、おそらくはもっと激しい年が始まる。

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メジュゴリエの聖母のメッセージ

 毎月25日に出されるメジュゴリエの聖母のメッセージを、この欄で紹介しています。
『愛する子供たち!
 わたしは今日、あなた方を平和のための祈りへと招き、導きます。特に今日、わたしは生まれたばかりのイエスを胸に抱き、あなた方が祈りを通じてイエスに一致し、この平和のない世界にあって平和のしるしとなるよう呼びかけます。
 互いに励ましあいなさい、小さな子供たちよ、祈りと愛に向かって。あなた方の信仰が、より大きな信仰と愛に人びとを導く糧となりますように。
 わたしはあなた方みなを祝福します。そして、わたしの心とイエスの御心にもっと近づくよう招きます。
 わたしの呼びかけに応えてくれてありがとう。(2001年12月25日)』

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ゴッドファーザー Part II

 代父になると言ってはいけなかった理由の一つは、健康だった。本当に、24日夜のミサに出席できるのか。
 24日は、朝からじっとしていた。意志の力で熱をコントロールできるようなヨーギならよかったが……。しかしそれでも、僕はじっと様子を見ていた。
 午後5時。タイムリミット近くになって(行ける……)と思った。そうしてそそくさと支度をし、クリスマスの洗礼式に臨んだ。
 サレジオ会が運営している調布教会には、日本で半世紀以上、宣教に務められたチマッチ神父の柩が置かれている。今年、その柩の拝礼に行ったとき案内してくれたフランス人司祭が、今回、Sさんに洗礼を授けるという。まったくの偶然で、彼女はその司祭のもとでカトリックを学んでいたのだ。
 この日、Sさんはびっくりするほど普通の服装で現れた。しかし、彼女の魂は、洗礼の水で洗い清められた。洗礼名はベルナデッタ。去年の夏、われわれがルルドで祈りを捧げた聖女だ。腐敗をまぬがれた彼女の美しい遺体を見たときから、Sさんは、この洗礼名を心に決めていたらしい。

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ゴッドファーザー

 一時よくなっていた体調が、ふたたびすぐれない。今年の冬は、いったいどうしたというのだろうか。これを読んでくださっている読者の皆さんは、普段忘れている健康の有り難みを、是非、神さまに感謝してほしいという気になる。何でもそうだが、失って初めて有り難みが分かる。
 そんななか、嬉しい報せが飛び込んできた。
 昨年の7月、一緒にルルドに行ったSさん。あのときの感動とその後の精進が実って、晴れてカトリックの洗礼を受けられるというのだ。ついては『代父』になってほしいといわれる。
 代父。辞書を引くと「生まれた子の洗礼式に立ち会って名を与える、霊魂上の親、信仰の後見人」とある。英語では、Godfather だ。
 僕が、それになってよいはずはもちろんなかった。なかったが、ご本人と話をすると、懐かしさと、あの旅行の感動が蘇ってくる。そうして、思わず答えていた。
「僕でよければ、そうさせていただきます」

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ゴジラ2

 ゴジラの余韻が去らない。
 かつて殺したはずの大怪獣が生きていて、なぜか最初にやられるのはアメリカの原潜。さらに、怪獣の正体が実は太古の文献に書かれていたというのも昨今のパターン通り。ただ、ちょっと違ったのは、善玉になって久しい(と思っていた)ゴジラが、いつの間にか大悪役に戻っていたことくらいか。
 客の入りも、ガラガラと言っていい。ところが、映画が終わっても席を立とうとする人がいない。もちろん、僕も例外ではない。思わず「衝撃の」と言いたくなるラストシーンの余韻を楽しんでいるのだ。
 結局、タイトルロールが流れ終わるまで、誰も席を立たなかった。そうして館内が明るくなって、初めてその理由が分かった。
 子供向けのこの映画、客のほとんどが男性、しかもオジサンたちなのだ。かつて、『ゴジラ』や『ガメラ』を見て胸踊らせた世代。彼らは多分、この不安の時代にあって、たった二時間でもかつての夢に浸ろうと、1600円払って映画館に来た。そして、われわれもまたその例外ではなかったのだ。

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ゴジラ 1

 仕事でお世話になっている人を“接待”しようとして、何がいいか率直に聞いてみた。そしたら、
「ハリー・ポッター見に行こう」
 なんという素直な人だ。そう思いながら、有楽町の映画館に行った。映画館で映画を観るのは何年ぶりか……。ところが、目に飛び込んできたのは、入り口付近にできた長蛇の列だった。
「こりゃ、無理だ……」
 即、そう判断して、ふと向かいの映画館を見る。ちょうど扉が開いてて、客席は見渡すかぎりの伽藍堂。看板には、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』とある。(これしかない……)と直観した瞬間だった。
 映画は予想以上に堪能できた。なんといっても音がいい。それに、昔に比べて格段にリアルな特撮と、大画面の迫力。
 これから冬休みが始まる。『ハリー・ポッター』は諦めよう。それでも、われわれには『ゴジラ』がある。

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オジサン

 年末年始を一人で過ごすことに決めた僕は、久方ぶりに買い物に出かけた。不況とはいえ年末の夕暮れ時、近くのT急ストアはお客さんで賑わっている。これから先、この国の経済がどうなっていくのかは分からないが……。
 ふと、入り口近くに置いてあった「煎餅」に目が止まる。煎餅といっても、魚の小片をあげ、味付けしたお菓子。「イワシ」「キス」「タイ」の三種類があったので、「タイ」を選んで買い物籠へ。そのとき、目の前にいた男がふいに声をかけてきた。
「それ、美味しくないんですよね……」
 そういえば、さっきから視線を感じてはいたのだ。だが、人がスーパーで買い物してるのを見て、「それは美味しくない」などというこのオヤジは一体何者? まじまじと彼を見て私はさらに驚いた。T急ストアの名札をつけているではないか。
「それ、評判悪いんですよね。味が効き過ぎてるんです」
 この奇特な店員を、私はどう評価したらよいというのだろう。正直者というか何というか……。しかしこのおじさん、ここにじっとこうしていて、客に「これ買うな」と言い続けているのだろうか。だったら、品物自体を置くな……。そう思ったとき、彼自身が言った。
「品物を置かなきゃいいんですけどね……」
 そう言って、彼は勇躍、去っていった。僕は、その後ろ姿を見送ると、買いかけた「タイ煎餅」を元の場所に戻したのだった。

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年末年始

 今年は、年は、年末年始を一人で過ごすことに決めた。他にいろいろ方法はあったろうが、とにかく、熱を出して遅れた分を取り戻さねばならない。
 思えば、去年はフランス・イタリアの旅があった。二十人ちょっとの少所帯だったが、あれほど心に残る旅はかつてなかった。
 それを今年やめたのは、他でもない。旅行代金が高かったからだ。何とか安くならないかと相談したが、答えは「無理です」。理由は単純で、「年末年始だから」ということだった。
 そこでとりあえず、今年は年末年始の旅行はなし。その代り、内面の世界を旅行する、などと言って自分を納得させている。

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蓄積したピッタ

 年末である。一年のうちでもっとも華やぐ季節……のはずなのに、今年はそういうふうでもない。先日の恐ろしいエッセーに書いたように、熱を出してしまったからに他ならない。
 景気の悪い話で恐縮だが、もともと僕は、秋口になるとひと月ほど微熱が続くという性癖があった。どこでどう医学的に調べても、原因は見当たらない。長い間わけが分からなかったが、アーユルヴェーダを知るようになってからその理由が少し分かったような気がした。アーユルヴェーダの古典には、こう書かれている。
「夏の間に蓄積したピッタが、秋に残る日差しで悪化する。新たに増加するヴァータが、ピッタをさらに刺激する」
 本当か、と思うが、僕については本当なのだ。
 ところが、それが今年はなかった。うまく秋を乗り切った……と一人で思っていたのだが、蓄積したピッタは少しだけ時期をずらして、やはり悪化したのであった。

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メジュゴリエの聖母のメッセージ

 毎月25日に出されるメジュゴリエの聖母のメッセージを、この欄で紹介しています。
『愛する子供たち!
 この恵みのとき、わたしはあなた方を新たな祈りへと招きます。
 小さな子供たちよ。祈り、心の準備をしなさい。平和の王が到来し、祝福のうちに全世界に平和を与えてくださるように。
 平安の欠如が人びとの心を支配し始め、憎しみがこの世を統治しています。だからこそ、わたしのメッセージを生きるあなた方は、信仰のないこの世の光となり、差し延べられた手となってください。すべての人びとが愛の神を知るようになるために。
 小さな子供たちよ、忘れないでください。わたしはあなた方とともにいます。そして、あなた方みなを祝福しています。
 わたしの呼びかけに応えてくれてありがとう。(2001年11月25日)』

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