誕生日3


ただしこの方には、さらに不思議なことが多々あって、
たとえば、常に“しもべ”となる同級生が付き従っていたという。
この“しもべ”も同じ大学の学生であったが、
彼は常に“あるじ”の身辺を警護し、
授業の際には代返をし、昼御飯を買ってくるなど使い走りをした。
あるじが試験を失敗したときですら、
それは自分が風邪をうつしてしまったことが原因で、
本人には何の落ち度もなかったので、
特別に単位を与えて欲しいと担当教官に訴えたという。
これを経験した教官から直接聞いた話では、
それは直訴というよりは談判で、
危うく単位を出そうかと思わせるほどの迫力であったという。
私立大学医学部ならともかく、国立大学においては信じがたい話であるが、
実際、そのようにしてその人は大学に入学し、卒業していかれた。
高校卒業時から、年齢を詐称するなどということが可能であったのは、
彼がある巨大教団の教祖の子息であり、要するに、
自分たちの所有する高校に願書を書かせたからできたことのようだが、
もとよりそうした離れ業が……


一般人に可能であろうはずもない。
ともかくも、自分が早生まれだったので、
他の多くの同級生よりも早めに大学に入学できることを、
高校卒業時、微かによかったと思った記憶がある。


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