愛煙家 3


 愛煙家がたとえばガンになる確率は、そうでない人に比べてはるかに高いという事実がある。肺ガンなら、一日40本以上吸う人で約7倍、50本以上吸う人になると15倍を超える。酒と組合わされば、この数字はさらに高まる。職場に喫煙者がいる人、家族に喫煙者がいる人の、尿中のニコチン排泄量は、そうでない人に比べて飛躍的に高い。また、愛煙家の妻が肺ガンになる確率は、そうでない人の妻に比べて2倍、ないし4倍ほども高い。かりにこれを3倍としても、愛煙家の妻で肺ガンになった人のうち、3人に2人は本当はガンにならずに済んだことになる。
 それでも、どうでも、愛煙家は言う。「タバコを吸わないでガンになる奴もいれば、タバコを吸って長生きする奴もいるじゃないか!」
 タバコ会社は言う。
「タバコの害は、いまだ医学的に証明されたものではありません!」
 彼らにとっても、日々の稼ぎがかかっているのだ。
 だが、私は思う。同胞の生命を損ない、社会全体に多大な損害を与え、その上に 立ってあげた利益は、気の毒だが、彼らを本当には幸せにしないであろう。


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