旅日記21


7月9日-3
昔、勉強していた英語のテキストに、次のような文言があった。
『一人のニュートンが生まれるのに、
 数十人のニュートンが失われる』
イギリスは、ニュートンという人類史上に残る大天才を生んだ。
だが、ニュートンのような才能を持った少年は、
あの国に、あるいは他の国に、無数にいたに違いないのである。
たとえば、当時のイギリスでは貧しい家庭の少年に煙突掃除をさせた。
だがその方法は、煙突の上から生身の少年を下ろしていくのである。
そうして少年の体で煤を掃除する。
降りてきた少年は当然、真っ黒になっており、
体が外から汚れるだけならまだしも、
おそらく大量の煤塵を吸引したであろう。
そうして、多くは結核や、その他の病気で亡くなっていったに違いない。
このようにして、多くの少年・少女が、
おそらくは自分たちの才能に気づくことすらなく、
亡くなったり、一生を無為に過ごしたりしたに違いない。
まさに、一人のニュートンが生まれるのに、
数十人のニュートンが失われてきた。
産業革命や植民地政策によって
世界で最も富んだイギリスですらそうだったのだから、
まして支配された側であるインドでどれほどそのようなことがあったか、
想像に難くない。
一年分の学資を稼ぐために土嚢運びを3年行なう、
などというのは、貧しい国ではよくある話だ。
そのうちに進学を諦めることのほうが多いだろうし、
身体が弱ければ病気になったりもするだろう。
今回、参加者の一部の方から寄せられた寄付金で、
こうした真面目な生徒・学生を村周辺から選び、
奨学金を差し上げることになった。
前日のパーティの際、
皆の見ている前でステージ上で目録が代表者に手渡され、
また、全員が食事会にも招待され、ご馳走をいただいた。
彼らがおいしいものを無心に頬張っているのを見ると……
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India 2008 236


ああ、よかったと、心から思う。
この悦びは、誰にも奪い去ることはできないと、
心から思う。


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