名誉 2


かつて、新井将敬という自民党の政治家がいた。
彼が世に出たときの颯爽としたさまが印象的で、私は今も覚えている。政治をよくしたい、いい国を創りたいという若者の意欲が発散していた。
ところが、その彼も政界の波間に浮き沈みする間に、さまざまに違法なカネ作りに手を染める。政治改革を期して自民党を飛び出、親分の後ろ楯を失った彼は、狙い撃ちするに容易だった。そうして立件され、逮捕が間近いといわれたある日、ホテルの一室で首を吊った。辱めを受けるよりは、いっそ死のうと思ったのである。
一方のホリエモンはといえば、容疑を否認し、徹底抗戦の構えだという。なんとかしてこの難局を乗り切り、復活を果たそうというエネルギーがまだ残っているようだ。
だが、仮に報道されているようなことが事実なのであれば、ホリエモンは名を惜しみ、ここは事実をしゃべったほうがよいのではなかろうか。それが、ホリエモンが最後に名誉を保つ唯一の道のように傍目には思われるが、本人は本人でまた、別のことで頭がいっぱいなのだろう。それが人間というものだ。


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