戦い


K1・HEORS’が、韓国に進出した。格闘界から足を洗ったはずの私も、見逃すことができない。大山峻護君が出場するからだ。
大山君は、日本の誇る柔道エリートだ。より広範な強さを求め、全日本サンボ選手権も4連覇、総合格闘界に進出した。
だが、格闘家としてこれからという時期に不運に見舞われる。2001年に右目、そして2003年には左目も網膜剥離となり、絶対安静を強いられる日々が続いた。だが、「手術の経過しだいで、現役復帰もできるかもしれない」という状態から、精神力で復活した。
今回の相手は、韓国ムエタイのヘビー級王者ガク・ユンソプ。壮絶な打撃の応酬が予想されたが、大山は自分の土俵で戦うことを決めていた。
試合が開始されて早々、相手をつかまえて投げをうつ。ガクはグラウンドの防御も充分に研究していたようであったが、しかし、大山峻護が一瞬のスキをついて足をきめた。
画面で見ていて、最初、何がきまったのがわからないほどの早技だった。試合時間1分15秒。背中の痛みは未だ完全に癒えていないはずだが、まったく問題にならない強さだった。
『すべてを力に』が大山君のモットー。勝っても、負けても、彼はそこから何かを学ぶ。そうして、さらなる強さへの探究が続いていく。


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