黄金週間 5


実は、“黄金週間の男”をエッセーに書くにあたっては、一応承諾を得ようと思って電話してみたのである。夜の9時頃だったが、案の定、留守だった。
「昨夜は、随分早い時間に留守電にメッセージが入ってました。しかも眠そうな声で」
と翌日メールがあった。
「昨夜帰ったのは10時過ぎ。早寝早起きできる人が羨ましい」
などと続く。つまり彼は、黄金週間中も一日も休まず、その最終日曜日もまた、夜10時近くまで働いていたことになる。ちなみに、彼は遅寝早起きだ。
そういう生活習慣に加え、独身なもので、スーパーのお弁当で済ますこともしばしばだ。豪放磊落な男だが、ある日、田舎の公園で一人コンビニ弁当を口にする老人の背を目にしたときには、さすがに未来の自分の背中を見たようで慄然としたという。
だから、そんな食生活ではいけませんよと言ってやると、即座に反撃が返ってくる。
「だけど、野菜や果物をよく食べる人とあまり食べない人とで、大腸ガンになる率は違わないそうじゃないか」
たしかに、数日前の新聞に、そんな記事が載っていた。しかも厚生省研究班による、10年近くにわたる研究結果だというのである。


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