恐怖新聞


 夕方6時、一日の仕事が終わって人びとが安らぎの時間を見いだそうとする頃、事件は起きた。
 インターホンに答えると、「Y新聞でーす。粗品をお持ちしましたー」。女性の声にドアを開けてみて驚いた。目の前に、大男が立っている。「こないだまで取っていただきましたが、入ってなかった日はありませんでしたでしょうかぁ〜?」
 たしかに何日か入らなかった日があったと言うと、「言っていただければよかったのにぃー」と、崩れんばかりの笑顔。お詫びにと洗剤を差し出すので礼を言って受け取り、ドアを閉めようとした。が、男はすかさずドアの隙間に体を入れ、把手をつかんだ。
「何するんだ!」と怒鳴ったのは、男のほう。同じ人物が、男の声と女の声を使い分けていたのだ。形相も、まったく別人になっている。ドアを押したり引いたりしながらの押し問答の末、何とかこの「大魔神」に洗剤を返し、お引き取りいただいた。
“正義の味方”大新聞。彼らもまた、実は、こうした実態を知っているのに違いない。


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