古巣 2


 懐かしさのあまり、キャンパス内にある生協の本屋さんに行った。建物を入って、 階段を昇っていくときの独特の香りや風景が、昔と少しも変わっていない。大学にいたころ、何百回も昇り降りした階段は、今でも目をつぶって昇れそうだった。おまけに、本の配置も同じ。昔、理学書があったのと同じ位置に、今も理学書がある。ベス トの配置なのだろう。
 変わったこともあった。生協の食堂で定食を食べたのだが、昔、250円から300円くらいだったのが、今は450円から500円くらい。
 それともう一つ。ぼくが研究室にいた頃助手だった先生がくれた名刺にさりげなく 書かれていた肩書は、「東京大学教授」。考えてみれば、あれからもう20年近くがたったのだ。


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