彼岸の中日 3


(3月20日のFax・続き)
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もともと、悟りに至るために越えるべき迷いや煩悩は川に例えられるのですが、
その川は、「三途の川」とは関係がないそうです。
その向こう岸に涅槃があるとする考え方から、これを「彼岸」と言います。
春分と秋分は、太陽が真東から昇り、真西に沈むので、
昔の人は西に沈む太陽を拝み、はるか彼方の極楽浄土に思いをはせたのですね。

日本では古くから、彼岸の供え物として「ぼたもち」と「おはぎ」が有名ですね。
この二つの間には厳密な区別はなく、
彼岸の頃に咲く牡丹(春)と萩(秋)に由来するんだそうです。

昔、芦田に住んでいた頃ですからまだ幼稚園に上がる前、
近くの牛を飼っていた家で法要が営まれていて、
(たぶん、戦艦大和に乗っていたおじさんの家だったと思う)
そこに、黒い餡のよく乗ったぼたもちがたくさん並べられていました。
(あれを思い切り食べてみたい……)などと思いながら、
窓の外から中の様子をうかがっていたら……


おじさんが気づいて、ぼたもちを持ってきてくれました。
子供ながらにハッとして、これをいただいてはいけないと思い、
“辞退”しようとしたのですが、
おじさんは、「遠慮をするな」と言って持たせてくれました。
そのときのおじさんの「えんりぉーするな」という声は今も覚えています。
ぼくが、「遠慮」という言葉を学んだ瞬間でした。
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