聖者の世界 1


 1999年5月2日、一人のカトリック司祭が「福者」の列に加えられた。福者とは、聖人になる前の段階の賢人のことである。
 この日行なわれる列福式のため、法王庁はサン・ピエトロ広場に三万席を用意したが、訪れた巡礼者はそれをはるかに上回り、三十万人を超えた。そうして今年の6月16日、同じ人物が今度は聖人の列に加えられたが、その際にもまったく同じことが繰り返されたのだった。この新しい聖者の名をピオ神父という。
 ライトフィールドの池田社長がピオ神父の聖地に行くと言い出したのは、他でもない、都合により、今年のルルドツアーに参加できなかったからである。
 年に一度はキリスト教の聖地を訪れないと気が済まないという彼女は、躊躇うことなく、ピオ神父の聖地サン・ジョバンニ・ロトンドを今回の巡礼地に選んだ。ピオ神父が列聖されたからではない。彼女は昔から、この神父の許を訪れたいと願っていたのだ。
 こうして、彼女とお嬢ちゃん、御主人がいつも一緒に仕事をしている前川清さんの奥さまとお嬢ちゃん、以前に僕がラジオの番組をやっていた小林克也さんの奥さまらと一緒の、珍しい旅が実現した。


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