旅日記9


12月14日ー4
この盛大なバジャンの様子を、
いったいどのようにして文章にしたらよいのだろうか。
村人たちの音程はかなり外れていたし、
歌い方もエレガントとはいえなかった。
しかし彼らの神に向かおうとする心は、例えようがない。
私は当初、このあまりの熱気に、
日本から来た皆さんが引いてしまうのではないかと心配したのだが、
しかしそれは杞憂だったようだ。
皆さんも自ら、体を揺らし、手をたたき、楽器を打ち鳴らし、
最後には総立ちとなってこの讃歌を楽しまれた。
インド人のなかにはトランス状態に陥り、
神への讃美を口走って気を失う者が現れた。その後、
最後に壮大にバジャンが盛り上がった後……


未曾有の大雨になったのだった。
まるで讃歌が終わるのを待っていたかのように神々は雨を降らせ、
南インドを覆う夜の帳のなかを、
真っ白い霧が背後から押し寄せてきたのだった。
PC140242

祝福の雨の中…
7

総立ちのフィナーレ


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