T急ストア2


 彼女の言動に、僕がとりたてて不信感を抱いたわけではない。ああいう人もいるのだろう。暮れの店員さん(12月17日)に比べれば、さして珍しい人ではないと思っていた。
 ところがその後、他の買い物をした後、僕はふたたび刺身売り場を見渡せる位置にいた。閉店5分前である。するとなんと、あの刺身オバサンがまたやってきて、伊勢海老の前に立ったのだ。どうやら、値段を確かめているらしい。しかし、1180円の伊勢海老は 400円が精一杯と見えて、それより下がってはいなかった。
 オバサンは、やおら伊勢海老を手にとった。僕に対してあんなに罵倒した伊勢海老をである。そうして、近くにいた店員に二言三言声をかけたかと思うと買い物籠に入れ、足早にレジのほうに消えていったのだった。


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