学会9


すっかり脇道にそれたが、
『ルックルック』の一部になってからも、
私は竹村健一氏の番組を見続けた。
なんと言っても歯切れがよく、洞察力に優れ、
彼はまさに衆愚政治の横行するわが日本における
類まれなオピニオン・リーダーであるように私には感じられた。
どのような政治的見解にも、賛否両論があるのは当然だが、
彼の言ったことは、そのときどきで人びとに憎まれても、
時代を経てみると、多くが正しかったことが分かる。
たとえば、独立国である以上ある程度の軍備が必要なことや、
直間比率の見直しが全体的で公平な税体系のために必要であるなど、
彼は人びとに憎まれながらも主張してきた。
そして、行政改革の必要性が叫ばれ始めた頃……


これに特に熱心であったのが竹村健一氏であった。
当時、土光臨調が、官僚の抵抗にあってもがき苦しんでいたとき、
竹村健一が『世相講談』のなかでこれを解説しながら、
感極まって落涙したことがあった。
「頼む、頼むから、土光さんを助けてほしい……」
そう言って絶句した氏に、私は強い親近感を抱いた。


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