学会3 


ところで、当学会の資金難は、
自慢ではないがほとんど破滅的な状態である。
億単位の資金投下があった頃の蓄えをすべて吐き出し、
赤字が累積するようになってきて、
ついに今年の春、寄付を募ることとなった。
なんとかおかげさまで累積赤字を減らしたが、
問題がこうなる前に、生き残りをかけて、
「先生、何かいい智慧はないですか」と、私すらも問われたときがある。
事務局のある研究所まで出向き、よくよく話を聞いてみると、
経費削減の努力はすでに極限まで行き着いており、
この際はどなたか、篤志家を探す他ないという話だった。
ちなみに、当学会の顧問には、政界のお歴々が名を連ねられ……


文部科学大臣や、金融担当大臣などを務める方もおられた。そこで、
「そういう先生方からなんとかお力添えをいただくことはできないのですか、
 これからの百年、いや千年を担っていく科学ではないですか」
と申し上げたところ、
「政治家の先生方からは何もしてもらえません。
 いえ、あの皆さんには何もできなのですよ、
 実際の権力は、官僚が握っているのですから」
と言われた。


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