新書4


そうして、ほぼ三分の一を書き終えたところで私は広島に行き、
帰ってきて間もなく、青森に行った。
昨年4月の『大いなる生命と心のたび』でたどった奥入瀬渓流を、
青森駅から逆に、十和田湖までバスで移動した。
昨年は一面、真っ白な雪に覆われていたその場所は、
新緑の、まぶしい季節を迎えていた。
しかし驚いたことに、このような時期に……


なお、雪が積もっている場所もあるのだった。
『大いなる生命と心のたび』では皆さんとご一緒だったが、
こんなところを一人で旅し、
無邪気な初夏と語らいなどしていると、
それだけで切なさがこみあげる。
もっとも、『大いなる生命と心のたび』のときには、
最後に皆さんとお別れするときになって、
まるで、それまで笑い転げたようなことの報いが一どきにやって来るかのような、
そんな憂いが訪れるのだが。


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