北国 3


初日からばたばたしてしまったので、仏様をゆっくり拝ませていただいたのは三日目になってからだった。
ご本堂の阿弥陀如来。見ているだけで幸せになるたたずまいだ。その左には、仏陀を取り巻くみ仏たちの絵がかけられていたが、素人の方がお描きになったものだという。
天界というのは(仏教では極楽というのだろうか……)こんなふうか……。そのような天界は実在する。が、実際に在るとすれば、それは外のどこかの世界ではなく、われわれの内側にしかないだろう……。そんなことを思ってしまう。
み仏の右側には、横になって入滅する仏陀の画。木材に、彫るようにして描かれた画だ。あまりに柔和な、穏やかな表情をしておられる。
われわれはいつも現世で戦っているが、しかし、われわれの内側にはこの表情のような穏やかな世界がある。
瞑想中に感じる静寂や充足感をそのまま生きることができれば、われわれもこのような生を生きることとなるに違いない。急にそうなれなくても、瞑想する度、われわれはそのための練習をし、その状態に近づいていく。


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