第十回 〜ローマ・アッシジ・メジェゴリエ〜 五日目


朝目覚めたとき、メジュゴリエを今朝離れるということが信じられなかった。スベトザール神父の茶目っ気のある笑顔、地元ではすでに聖人のように思われているヨゾ神父のあつい祝福、ご出現の丘の夕陽……これらの印象があまりに強すぎ、離れ難い。かつてルルドで、最終日にはいつもそんな気持ちになったことを、私は思い出していた。
思いは皆、同じだったようだ。昨夜あんなに遅かったにもかかわらず、何人もの方は日の出頃からメジュゴリエを散策し、祈っておられた。教会の目の前のホテルが何とかとれたのは、こういうときに威力を発揮する。
そして何人かの方は、不思議な現象に遭遇した。教会奥の、比較的新しいキリスト像の脚の部分から、液体が湧き出ていたのである。
参加者の一人は、地元の方からスポイドを渡され、それを採取してきた。私が行ったときには、巡礼の方がこれをペットボトルにとろうとしておられたが、たしかに金属製のキリスト像から液体が湧き出ているのを私も目視した。
液体は、ちょうど涙のようにポロリ、またポロリと湧き出てくる。その原因や意味は不明であるものの、私はこの水をテッシュに含ませ、すでにバスで待つ皆さんの許へ走った。
“アドリア海の宝石”ドブロヴニクは、聞きしにまさる美しい街だった。
この街はまた、金製品でも知られる。われわれは、あるいは城壁に登って目の前に迫る景色に感嘆し、あるいは街に降りて緻密な金細工に吐息しながら、ひとときを過ごした。
バスが出発すると、ドブロヴニクの旧市街と、打ち寄せるアドリア海の波がふたたび眼下に現れ出た。そのあまりの壮観に、歓声が上がる。
それらが、しかしはるか後方に過ぎ去ったとき、誰もが、この巡礼の旅が終わったと思っていた。
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アドリア海の風景
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ヨーロッパ最古の薬局
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ドブロヴニクの下江さん
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太陽のもとでお食事
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箸が転んでもおかしいお年頃


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