十字架上の死


 先週、「13日の金曜日」のなかで、イエスは十字架上で窒息死したらしいと書きました。これまで、それが通説だったわけで、私が中学生のときもそう習ったような気がします。ところが調べてみると、他にも有力な説があることに気付きました。
 聖書に、イエスは「父よ、わたしの霊を御手にゆだねます」と大声で叫び、息絶えたといいます。福音書によってその記述は異なりますが、かりにこれが事実であるとしたならば、緩慢な窒息死では想像しにくいことです。
 聖書にはまた、兵士がイエスの脇腹を槍で貫くと、血と水が流れ出たとも書かれています。これは胸腔内にすでに大量の血液が溜まり、血球成分と血漿(透明に近い)に分離していた可能性を示しています。ということは、イエスは心臓破裂で亡くなったのではないか、というのです。
 西洋の医師たちは、死んで数時間経った死体の脇腹を刺したりして、さまざまな実験を行なったようです。そうまでして、と思われるかもしれませんが、キリスト教徒にとって、イエスの最期は最も重要な黙想の対象です。実際、それを黙想することによって、手足や脇腹に傷(聖痕)を受ける人びとすらいるくらいなのです。


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