記録 1


 あと一年でFA権を取得という年に、ポスティングシステムで渡米したイチローに好感を持ったのは、ぼくだけではないと思う。
 FAならばただ手放すだけになったオリックスには、このために莫大な利益が転がり込んだ。そのせいでもなかろうが、まさにその一年目、彼は首位打者となり、盗塁王、新人王のタイトルと並んでMVPを獲得した。日本人が大リーグでこれらのタイトルを総なめにするなど、いったい誰が予想できただろうか。
 2年目、3年目は、やや低迷気味だったといえるかもしれない。マークもきつくなっただろうし、そうそう毎年首位打者というわけにもいかないだろう。
 が、それにも増して悪かったのは、今シーズンの出足である。4月の打率は2割5分台。この時点で、今シーズンのイチローが世界の球史に残る大記録を打ち立てると予想した者もまた、皆無であったに違いない。


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