記録 3


 これを聞いて、そうだ、積み重ねていけばどんな夢でもかなうんだ、などと思った若者もいるだろう。素晴らしいことだ。夢に向って努力したらいい。だが、ぼくがこの言葉が好きな理由は、そんな“美しき誤解”に基づいたものではない。
 実際、われわれはイチローのような天賦の才を持ち合わせてはいない。小さなことを積み重ねたとしても、われわれの誰もが世界記録を打ち立てたり、歴史に名を刻むわけではない。それは、受け入れるしかない事実だ。
 ところが、ここにもう一つの事実がある。かりに外側のことは達成できなくても、内側のことは達成できる。それどころか、外側のものには限りがあるが、内側のものには限りがない。外側のものは時とともに色褪せ、失われるが、内側のものは色褪せたり失われたりしない。
 とりわけ、すでに瞑想を始めた皆さんに、私は自信を持って言う。少しの時間の、日々の瞑想の後に待っているもの。それは世界記録とか、金メダルとかではないかもしれない。だが、そうしたものよりもっと深く、もっと広く、真の意味でとてつもない何かが、そこには確実に待っている。
 これは信じたり、夢見たりすることではない。ただ実行し、実際に手に入れるものなのだ。


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